看護師の給料は本当に「会社員と同等以下」?データで比べてみた

働き方の記録

「看護師は夜勤をしていないと、会社員と同等もしくはそれ以下のお給料しかもらえない」

今回、医療職の給料についてアンケートを取ったところ、こんな声がありました。

そして、このコメント。

私はかなり共感しました。

……でも、ふと疑問に思ったんです。

「本当に看護師の給料って、会社員と同等か、それ以下なの?」

看護師として働いていると、

  • 夜勤をする
  • 夜勤明けでも記録や委員会がある
  • 急変対応がある
  • 人の命を預かる
  • 常にミスが許されない緊張感がある
  • 人間関係にも気を使う
  • 委員会や研修など勤務時間外の仕事もある

そんな毎日を送っています。

だからこそ、

「これだけ働いているのに、この給料?」

と感じることがあります。

でも、感覚だけで「看護師の給料は低い」と言い切るのも違う。

そこで今回は、公的な統計と、実際に集まった医療職の給料明細を使って、「看護師の給料は本当に会社員と同等以下なのか?」を考えてみます。

まず結論。看護師は「会社員より低い」とは言い切れない

いきなり結論から。

看護師の給料は、会社員より必ず低いわけではありません。

厚生労働省の「job tag」では、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした看護師の年収は、

524.7万円

となっています。

一方、比較対象として一般事務を見ると、

541.4万円

でした。

職種年収
看護師524.7万円
一般事務541.4万円
16.7万円

数字だけを並べると、

看護師の年収が一般事務より約17万円低い

という結果です。

「え、やっぱり低いじゃん」

と思った方もいるかもしれません。

でも、ここで一度立ち止まりたい。

この17万円だけを見て「看護師のほうが給料が低い」と判断していいのでしょうか?

「会社員」という比較が実は難しい

そもそも「会社員」と一言で言っても、かなり幅があります。

営業職も会社員。

事務職も会社員。

ITエンジニアも会社員。

管理職も会社員。

新卒社員も会社員です。

仕事内容も、勤務時間も、年齢も、経験年数も違います。

だから、

「看護師」と「会社員」

という比較だけでは、実はかなり大雑把なんです。

今回の記事では、比較対象として分かりやすい「一般事務」を一つの目安にします。

厚生労働省のjob tagによると、一般事務の労働時間は月157時間、看護師は156時間となっています。

ここだけを見ると、

「労働時間はほぼ同じなのに、年収は看護師524.7万円、一般事務541.4万円」

という比較ができます。

ただし、仕事内容や勤務形態、夜勤の有無などはまったく違います。

ここが看護師の給料を考えるときの難しいところです。

看護師の年収を押し上げている「夜勤」という存在

看護師の給料を考えるとき、絶対に外せないのが夜勤です。

病棟勤務では、

  • 夜勤手当
  • 深夜勤務手当
  • 夜間看護手当
  • 特殊勤務手当

などが給与に加わることがあります。

実際、今回集まった給料明細を見ても、夜勤をしている看護師では夜勤関連の手当が数万円単位で給与に含まれているケースがありました。

例えば、今回のアンケートでは、

月6回の夜勤で夜勤手当が約6万4,800円

というケースもあります。

単純計算すると、

年間77万7,600円

です。

もちろん、賞与や税金などは考慮していない単純計算ですが、

「夜勤をしている看護師」と「夜勤をしていない看護師」

では、同じ看護師でも年収に大きな差が出ることが分かります。

だから「看護師は給料が高い」とも言い切れない

ここが今回、一番伝えたいところです。

看護師の年収524.7万円という数字だけを見ると、

「結構もらってるじゃん」

と思うかもしれません。

でも、その中には夜勤や時間外勤務などによる手当が含まれるケースがあります。

つまり、

「看護師だから高い」のか

それとも、

「夜勤や残業をしているから高くなっている」のか

を分けて考える必要があります。

これはかなり重要です。

実際の給料明細を見ると、もっと分かりやすい

今回、ナスカネのアンケートに寄せられた医療職の給料明細を見ると、その差がかなりリアルに見えてきます。

例えば、夜勤ありの看護師では、

給与の構造イメージ
基本給20万円台
夜勤・各種手当数万円~
総支給30~40万円台になるケースも

という給与構造が珍しくありません。

一方で、夜勤なしの日勤常勤になると、夜勤手当がなくなることで総支給額が大きく下がるケースがあります。

実際に今回のアンケートでも、

「夜勤なしで働きやすいから現在の給与に満足」

という声がある一方、

「看護師は夜勤をしていないと会社員と同等もしくはそれ以下のお給料」

という声もありました。

つまり、同じ「看護師」でも、

夜勤をするかどうかで、給料に対する感じ方が大きく変わる

わけです。

「夜勤なし看護師」の給料を見ると印象が変わる

今回のアンケートには、夜勤なしで働く看護師のデータもありました。

例えば、日勤常勤で訪問看護をしているケースでは、

手取り25万円台

で、

「日勤常勤の勤務でストレスなく体調も整っているので、このお給料でも満足」

という回答がありました。

一方で、

「看護師は夜勤をしていないと会社員と同等もしくはそれ以下のお給料」

という声もあります。

ここで面白いのが、

同じ「夜勤なし」でも、満足度が違う

ことです。

なぜでしょうか。

給料の満足度は「金額」だけで決まらない

今回のアンケートを見ていると、給料に満足している人には共通点があります。

それは、

「給料と働き方のバランス」に納得していること。

例えば、

  • 夜勤がない
  • 残業が少ない
  • 希望休が取りやすい
  • 人間関係が良い
  • 子育てと両立できる
  • 定時で帰れる

こうした条件がそろっていると、必ずしも「もっと給料が欲しい」とはならない。

実際に、

  • 「夜勤もなく働きやすい」
  • 「定時で帰れる」
  • 「子育てとの両立を優先したい」

という回答が複数ありました。

逆に、

年収600万円前後あっても満足度が低い

ケースもあります。

年収600万円でも「給料が見合わない」と感じる理由

今回のアンケートでは、年収600万円前後の看護師からも、

  • 「業務量に対して見合わない」
  • 「責任が重い」
  • 「残業や夜勤が負担」

といった声がありました。

例えば、

年収約624万円・夜勤月6回

という看護師でも、

「何年か給料は上がるが、業務量に対して見合わない」

という回答がありました。

また、

年収約750万円・夜勤5~6回

という看護師からも、

「相場よりは給料はいいと思うが、もっと給料が上がってもいい仕事だと思う」

という声がありました。

これを見ると、

「年収〇万円なら看護師は満足する」

という単純な話ではないことが分かります。

じゃあ、なぜ「会社員と同等以下」と感じるのか?

私は、今回のコメントの背景には、単純な年収の低さだけではないと思っています。

おそらく大きいのは、

「給料の中に、負担の対価が含まれている」

と感じるからではないでしょうか。

例えば夜勤。

夜勤をすれば給料は増えます。

でも、その代わりに、

  • 昼夜逆転
  • 睡眠リズムの乱れ
  • 夜間の急変対応
  • 少人数での判断
  • 夜間の緊張感
  • 夜勤明けの疲労

があります。

つまり、

「夜勤手当があるから給料が高い」

だけではなく、

「夜勤をしないと十分な年収にならない構造になっている」

と感じる人がいる。

ここに不満の正体があるのではないでしょうか。

「資格を取ったのに、こんなもの?」という気持ち

さらに看護師の場合、国家資格を取得するまでにも時間と費用がかかります。

そして資格取得後は、

患者さんの状態を観察し、

異常を見つけ、

医師へ報告し、

必要な処置を行い、

薬剤を確認し、

転倒を防ぎ、

急変時には対応する。

日々の仕事には、常に責任がついて回ります。

だからこそ、

「国家資格を持って、人の命に関わる仕事をしているのに、夜勤や残業をしなければ一般的な会社員と大きく変わらない」

と感じたとき、

「じゃあ、この責任やストレスは何なんだろう?」

という疑問につながるのではないでしょうか。

今回のコメントも、単に「もっと給料を上げてほしい」という話だけではなく、

「仕事の責任や負担に対して、給与という形で十分に評価されているのか?」

という問題提起に近いのだと思います。

ただし「看護師の給料は低い」と断言するのも違う

ここはデータを扱う記事だからこそ、冷静に書いておきたいところです。

厚生労働省のデータを見ると、看護師の年収524.7万円は、決して「ものすごく低い」数字ではありません。

一般事務の541.4万円と比較すると約16.7万円低いものの、職種によって年収は大きく違います。

また、厚生労働省のjob tagでは、看護師について「一般的な事務の仕事等と比較して給与水準は高い傾向」とも説明されています。

つまり、

「看護師=給料が低い」

というのはデータだけを見ると正確ではありません。

むしろ、

「平均年収は一定の水準にある。でも、その年収を得るための働き方に納得できているかは別問題」

と考えたほうが、実態に近いのではないでしょうか。

看護師の給料を考えるなら「年収」だけでは足りない

ここまでを一度まとめてみます。

見るポイント看護師について考えること
年収平均524.7万円
一般事務平均541.4万円
夜勤年収を押し上げる大きな要素
残業給与に影響する
責任人命に関わる判断がある
働き方夜勤・交代勤務の有無で大きく変わる
子育て夜勤の有無が働き続けやすさに影響する
満足度年収だけでは決まらない

こうして見ると、

「看護師は会社員より給料が低い?」

という質問の答えは、

「一概には言えない。でも、夜勤などの負担を含めて考えると『もっと評価されてもいいのでは?』と感じる人がいるのは理解できる」

になると思います。

そして、医療職全体を見るとさらに複雑

今回集まったアンケートには、看護師だけではなく、理学療法士・作業療法士・臨床検査技師・診療放射線技師・歯科衛生士など、さまざまな医療職の声があります。

その中には、

  • 「国家資格なのに給料が上がらない」
  • 「業務量と給与が見合わない」
  • 「人の命に関わる仕事なのに昇給が少ない」

という声が複数ありました。

一方で、

  • 「夜勤がない」
  • 「定時で帰れる」
  • 「休みの融通がきく」
  • 「人間関係が良い」

といった理由から、現在の給与に納得している人もいます。

つまり、医療職の給料問題は、

「いくらもらっているか」だけではなく、「何と引き換えに、その金額をもらっているのか」

まで見ないと分からないのだと思います。

「年収600万円なら幸せ」とは限らない

今回のアンケートで、個人的にかなり印象に残ったのがここです。

年収600万円前後でも、

  • 「業務量が多い」
  • 「責任が重い」
  • 「夜勤が負担」

と感じている人がいる。

逆に、年収500万円前後でも、

  • 「夜勤なしで働きやすい」
  • 「人間関係が良い」
  • 「子育てと両立できる」

という理由で満足している人もいる。

つまり、

年収500万円で満足する人もいれば、年収600万円でも満足できない人がいる。

これは看護師に限った話ではないでしょう。

「会社員と同等以下」という言葉の本当の意味

今回のコメントを、私はこう読み取りました。

「看護師は会社員より給料が低い」

という単純な主張ではなく、

「看護師という仕事の責任や負担まで考えたとき、今の給与水準で本当に納得できる?」

という問いなのではないでしょうか。

実際の統計を見ると、看護師の年収は一般事務より必ずしも低いわけではありません。

でも、

夜勤をして、

人の命を預かり、

急変に対応し、

精神的な緊張を抱えながら働いて、

その結果として得られる年収が500万円台。

そう考えたときに、

「もっともらってもいいんじゃない?」

と感じる人がいるのは、決して不思議ではありません。

ナスカネが思う「看護師の給料が低い」の正体

私は、

「看護師は給料が低い」

と一言でまとめるより、

「看護師は、給与と負担のバランスに不満を感じやすい仕事なのでは?」

と考えています。

そして、この違いはかなり大きい。

年収だけを比較すれば、

「看護師はそれなりにもらっている」

という結果になる。

でも、

  • 夜勤なしなら?
  • 残業なしなら?
  • 子育てしながらなら?
  • 責任やストレスまで含めたら?

と条件を変えていくと、見える景色が変わります。

だからこそ、医療職の給料を考えるときには、

「年収〇万円」だけを見るのではなく、その金額をどんな働き方で得ているのか

まで見ていきたい。

それが、今回アンケートを集めて感じたことです。

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まとめ|看護師は本当に「会社員と同等以下」なのか?

最後に、今回の話をぎゅっとまとめます。

公的データだけを見ると、看護師の年収が会社員より一律に低いとは言えません。

令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした厚生労働省job tagでは、看護師の年収は524.7万円、一般事務は541.4万円です。

単純比較では一般事務が約16.7万円上回っています。

ただし、看護師の給与には夜勤などの手当が含まれることがあります。

そのため、

「平均年収が524.7万円ある」

だけでは、看護師がどんな働き方でその金額を得ているのかまでは分かりません。

そして、今回のアンケートから見えてきたのは、

「給料が低い」というより、「責任・ストレス・夜勤・業務量に対して、今の給料で納得できるか」という問題です。

これは、かなり大事な違いだと思います。

「もっと給料が欲しい」という気持ちも、決して欲張りではありません。

人の命に関わる仕事だからこそ、

その責任や負担が、給与という形でどれくらい評価されているのか。

そこをデータと実際の給料明細の両方から見ていく必要があるのだと思います。

そして何より、

「年収が高い=良い働き方」でもなければ、「年収が低い=悪い働き方」でもありません。

夜勤を減らして子どもとの時間を増やす。

残業の少ない職場を選ぶ。

給料を優先して夜勤を続ける。

日勤のみで働きながら副業や資産運用をする。

医療職の働き方には、いろいろな選択肢があります。

だからこそナスカネでは、これからも単純な「年収ランキング」だけではなく、

「その給料を、どんな働き方でもらっているのか」

まで含めて、医療職のお金と働き方を見ていきたいと思います。

参考にした公的データ

厚生労働省「job tag(職業情報提供サイト)」では、令和7年賃金構造基本統計調査をもとに、職種ごとの年収・労働時間などが掲載されています。

看護師については年収524.7万円、労働時間156時間、一般事務については年収541.4万円、労働時間157時間とされています。

  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
  • 厚生労働省「看護師|job tag」
  • 厚生労働省「一般事務|job tag」

※この記事では、読者がイメージしやすいよう「一般事務」を会社員の比較対象の一例として使用しています。「会社員」全体の平均年収を示すものではありません。

※公的統計と個人アンケートは調査方法・対象が異なるため、単純に同じ母集団として比較するものではありません。

※年収・労働時間などの数値は、厚生労働省job tag掲載情報をもとにしています。最新の情報については、厚生労働省の公式情報をご確認ください。

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